建設業の求人原稿を改善する7つのポイント|改善前・後の例つき
執筆・監修:中井 英喜(建設業専門の採用コンサルタント)

「求人を出しているのに応募が来ない」「条件は悪くないはずなのに、なぜか見てもらえない」。建設業の経営者・採用担当者の方から、こうしたご相談を毎週のようにいただきます。原因をたどると、給与や休みよりも先に、求人原稿の書き方でつまずいているケースが少なくありません。この記事では、現場職人から建設業専門の採用コンサルタントになった私、中井が、求人原稿を改善するポイントを改善前・後の例つきでお伝えします。この記事で分かることは次の3つです。
- 応募が集まる求人原稿と、集まらない求人原稿の違い
- 建設業の求人原稿を改善する7つのポイント(改善前・後の例つき)
- 今ある求人原稿を、今日から見直すための手順
求人原稿は「誰に・何を・どう伝えるか」で決まります
求人原稿の役割は、求職者に「この会社で働く自分」を想像してもらうことです。ところが建設業の求人原稿は、「施工管理募集。経験者優遇。給与は経験・能力により決定」のように、会社側が伝えたいことだけを短く並べたものが多く見られます。これでは、求職者は自分が働く姿を思い浮かべられません。
私がこれまで多くの建設会社の求人原稿を見てきて感じるのは、応募が集まる原稿ほど、読む人の不安と疑問に先回りして答えているということです。改善のポイントは、大きく次の7つです。
| # | ポイント | ひと言でいうと |
|---|---|---|
| 1 | 採りたい人を1人に絞る | 「誰に」を決める |
| 2 | 仕事内容を1日の流れで書く | 働く姿を想像させる |
| 3 | 給与は幅と根拠を書く | お金の不安を減らす |
| 4 | 休み・働き方を具体的に書く | 生活の不安を減らす |
| 5 | 未経験者・若手の「最初の3ヶ月」を書く | 入社後の不安を減らす |
| 6 | 会社の「人」が見えるようにする | 雰囲気を伝える |
| 7 | タイトルと冒頭に要点を入れる | そもそも開いてもらう |
1〜4は「何を伝えるか」、5〜7は「どう伝えるか」のポイントです。順に、よくある失敗と改善の例を紹介します。
伝える中身を変える4つのポイント
まずは、原稿に書く「中身」のポイントです。条件そのものを変えなくても、書き方を変えるだけで伝わり方は大きく変わります。
1. 採りたい人を1人に絞って書く
「経験者も未経験者も歓迎。20代〜50代まで幅広く活躍中」という原稿は、誰にでも当てはまるようでいて、実は誰の心にも響きません。まずは「どんな経験の人に、どの仕事を任せたいのか」を1人の人物像として決めてから書き始めます。
たとえば「職人として現場を5年ほど経験し、次は段取りや管理の仕事に挑戦したい人」と決めれば、書くべき内容(資格取得の支援、先輩の施工管理の下で学べる体制など)が自然と決まります。なお、年齢で応募を制限することは原則として認められていないため、人物像は年齢ではなく経験や志向で表すようにしてください【要確認】。
2. 仕事内容は「1日の流れ」で書く
「施工管理業務全般」「塗装工事」だけでは、求職者には仕事の中身が分かりません。特に異業種や未経験の人にとっては、「何をするのか分からない仕事」は応募の候補に入りません。
| 改善前 | 改善後 |
|---|---|
| 住宅の外壁塗装工事全般をお任せします。 | 7:30に事務所に集合し、3〜4人のチームで現場へ。午前は足場の確認と下地処理、午後は塗装作業。17:00頃には事務所に戻り、翌日の段取りを確認して解散です。現場は車で30分圏内がほとんどです。 |
このように時間の流れで書くと、求職者は「自分にもできそうか」「生活リズムは合うか」を判断できます。数字は自社の実態に合わせて書いてください。
3. 給与は「幅」と「上がり方」を書く
「月給25万円〜」「経験・能力により優遇」とだけ書かれていると、求職者は「結局いくらもらえるのか」が分かりません。上限を書かないことで、かえって「上がらない会社なのでは」と思われることもあります。
改善の例としては、「月給25万〜40万円。未経験の方は25万円からスタートし、資格取得や担当現場の規模に応じて昇給します」のように、入社時の目安と、その後の上がり方をセットで書きます。賞与や手当(資格手当・現場手当など)も、支給の条件とあわせて書いておくと安心してもらえます。
4. 休み・働き方は「具体的な数字や例」で書く
「週休2日制」「残業少なめ」は、どの会社の原稿にも書かれているため、読み飛ばされがちです。年間休日の日数、土曜日の休み方(隔週・月2回など)、雨の日の扱い、繁忙期の残業時間の目安など、実態に近い形で書きます。
休みが他社より少ない場合でも、正直に書いたうえで「その分、雨の日は早めに切り上げる」「長期休暇は連休にする」など、会社としての工夫を添えると印象は変わります。労働条件の書き方には法律上のルールもあるため、掲載前に内容を確認しておきましょう【要確認】。
読まれる原稿にする3つのポイント
中身がそろったら、次は「読まれる・最後まで読んでもらえる」ための書き方です。
5. 未経験者・若手には「最初の3ヶ月」を書く
未経験者や若手が応募をためらう一番の理由は、「入ってから自分がついていけるか分からない」という不安です。「未経験歓迎」と書くだけでは、この不安は消えません。
入社1週目は何をするのか、1ヶ月目・3ヶ月目にはどこまでできるようになっていればよいのか、誰が教えるのかを書きます。たとえば「最初の1ヶ月は先輩職人と2人1組で、道具の名前と養生の作業から覚えてもらいます」と書くだけで、応募のハードルは下がります。
6. 会社の「人」が見えるようにする
建設業の仕事は、チームで動く時間が長い仕事です。求職者は「どんな人と働くのか」をとても気にしています。社長の考え方、現場の年齢構成、先輩社員の前職やひと言などを入れると、会社の雰囲気が伝わります。
「アットホームな職場です」のような決まり文句よりも、「昼休みは現場の車で昼寝をする人が多いです」「親方は口数が少ないですが、聞けば何でも教えてくれます」のような具体的な一文のほうが、ずっと伝わります。社員の名前や写真を載せる場合は、必ず本人の了承を取ってください。
7. タイトルと冒頭に「要点」を入れる
求人サイトの一覧では、求職者はタイトルと冒頭の数行だけを見て、開くかどうかを決めます。ここに「職種名」だけしか書かれていないと、ほかの求人に埋もれてしまいます。
| 改善前 | 改善後 |
|---|---|
| 塗装工募集 | 【未経験から塗装職人に】住宅の外壁塗装/先輩と2人1組で一から教えます/土日休み(月2回) |
タイトルには、職種名に加えて「誰に向けた求人か」「一番の魅力」を入れます。冒頭の数行では、原稿全体の要点を3つほどにまとめて示すと、最後まで読んでもらいやすくなります。
今日からできる求人原稿の見直し手順
7つのポイントを一度にすべて直す必要はありません。次の順番で、今出している原稿から見直してみてください。
- 今の原稿を印刷し、求職者になったつもりで読む:「よく分からない」「不安に思う」箇所に印を付けます
- 若手社員や最近入社した人に読んでもらう:入社前に知りたかったこと、入ってみて意外だったことを聞きます。原稿に足すべき内容は、たいていここから見つかります
- 採りたい人を1人決め、タイトルと冒頭を書き直す:ポイント1と7を先に直すと、原稿全体の方向が決まります
- 仕事内容・給与・休みを具体的に書き足す:ポイント2〜4。数字は実態に合わせ、盛らないことが大切です
- 掲載後2〜4週間で反応を確かめる:閲覧数と応募数を、直す前と比べます。閲覧が少なければタイトル、閲覧はあるのに応募が少なければ本文を見直します
求人原稿を直しても応募が増えない場合は、原稿以外(出している媒体、応募後の連絡の速さなど)に原因があることもあります。応募が来ない原因を全体から確かめたい方は、「人が採れない」ときの課題別ガイドもあわせてご覧ください。
まとめ
建設業の求人原稿を改善する7つのポイントを紹介しました。
- 伝える中身:採りたい人を1人に絞る/仕事内容は1日の流れで/給与は幅と上がり方を/休みは具体的に
- 読まれる書き方:未経験者には最初の3ヶ月を/会社の「人」を見せる/タイトルと冒頭に要点を
求人原稿は、一度書いたら終わりではなく、反応を見ながら育てていくものです。条件を大きく変える前に、まずは「伝え方」を見直してみてください。
トルトル屋では、これまで200社以上(当社支援実績より・2026年10月時点)の採用を支援してきた経験をもとに、求人原稿の作成・改善から媒体選び、応募者対応まで、建設業の採用を一緒に進めています。自社だけで見直すのが難しいと感じたら、支援内容をご覧のうえ、お気軽にご相談ください。